「客先常駐(SES)は「やばい」からやめておけ」と聞いたことはないでしょうか?
15年以上を客先常駐(SES)を渡り歩いている著者が、客先常駐(SES)がやばいと言われる7つの理由とそもそも客先常駐とは?について解説します。
客先常駐(SES)がやばいと言われる7つの理由は以下の通りです。
- 給料が安い・年収が低い
- 会社員でも給料・年収が不安定になる可能性あり
- キャリア形成が難しい
- マネジメント経験が詰めない可能性あり
- 働き方・勤務地は常駐先に依存
- 自社から正当な評価を受けづらい
- 自社への帰属意識が薄れる
客先常駐(SES)が「やばい」と言われる7つの理由!~デメリット~
客先常駐という働き方は、多くのIT企業やコンサルティングファームで一般的に活用されています。
一般的に活用されている中で「客先常駐(SES)はやばい」という声も少なくありません。
客先常駐(SES)がなぜ「やばい」と言われるのか、そのデメリットについて詳しく解説します。
給料・年収が低い
客先常駐(SES)の仕事において、給料が安い・年収が低いという問題はよく指摘されます。
自社がクライアントから受け取る報酬と、その中から従業員に支払われる給料との間にマージンが発生するためです。
自社がクライアントから月額100万円で契約していたとしても、そのうちの60~70%程度があなたの給料となるケースが多い
更に、二次三次の請負契約などで複数の企業を介すると、その分のマージンが発生するため、更に給料が低くなります。
会社員でも給料・年収が不安定になる可能性あり
一般的に、会社員として働く場合、給料は安定しているイメージではないでしょうか。
客先常駐(SES)の場合、プロジェクトが終了したり、契約が更新されない場合で、次の案件が直ぐに契約できれば良いですが、次の案件が決まらない可能性があります。
次の案件が決まるまでは待機期間となります。
企業によっては待機期間中の給料は60~80%になる場合があります。
反面、単価が高い案件に参画出来れば、給料は上乗せされるケースもあり、給料・年収が不安定になる可能性あります。
キャリア形成が難しい
キャリア形成が難しいとされる理由は、専門性が磨かれにくいからです。
多くの業務がルーチンワークであり、新しいスキルを身につける機会が少ない可能性あり
一つの企業やプロジェクトに長く関わることで、その分野に特化したスキルしか身につけられない可能性もあります。
これが将来的にキャリアアップ、キャリアチェンジの転職を考えた際にネックとなる場合も少なくありません。
マネジメント経験が詰めない可能性あり
客先常駐(SES)では、専門的なスキルを活かす場面は多いものの、プロジェクトの主導権がクライアントにあるためマネジメントの機会が少ない場合があります。
自社メンバー数人で常駐できれば、自社メンバー間のマネジメントする機会はあります。
ただ、客先常駐(SES)は1人で常駐することも多いためマネジメントする機会がないことがあります。
マネジメントスキルは、キャリアアップにおいて非常に重要な要素ですが、それが積めない環境では、将来的なキャリア形成に影響を与える可能性があります。
働き方・勤務地は常駐先に依存
客先常駐(SES)の場合、働き方や勤務地はクライアント企業に大きく依存します。
そのため、自社の働き方改革が進んでいても、それが反映されない場合が多いです。逆もしかりです。
- リモートワークが自社では認められていても、常駐先では認められない場合、リモートワークができない
- フレックス制度を自社では導入していなくても、常駐先でフレックス制度を導入していれば、フレックス制度を利用できる
勤務地も案件によっては通勤に30分以内だったり、1時間以上かかったりでクライアント企業の勤務地に依存します。
自社から正当な評価を受けづらい
客先常駐(SES)をしていると、正当に評価されることが難しいです。
客先常駐(SES)では、上司や同僚とロケーションが異なることが多いため、直接コミュニケーションを取ることが少なくなります。
常駐先で成果を上げても自社のメンバーは見ていないため、評価されない、と言うよりも、評価できないです。
そのため、評価されなければモチベーションが下がりますね。
自社への帰属意識が薄れる
客先常駐(SES)の仕事を長期間続けると、自社への帰属意識が薄れる可能性があります。
日々の業務で自社のメンバーとのコミュニケーションが少なく、企業文化や価値観に触れる機会が減るためです。
帰属意識が薄れると、仕事へのモチベーション低下や、他社への転職を考えるようになる可能性もあります。
やばいと言われる客先常駐(SES)でも良いことはある?~メリット~
客先常駐という働き方について「やばい」ところが目立ちますが、客先常駐(SES)でのメリットについて解説します。
未経験でも就職・転職できる
中小規模のIT企業は、競争力を維持・拡大するために未経験者や異業種からの転職者を採用することがあります。
ITエンジニアを目指す人にとって、客先常駐(SES)の形式での採用が多い中小企業は、多様なプロジェクト経験を積むチャンスとなります。
そして、ある程度の実務経験を経たら転職活動することをお勧めします。
ITエンジニアの就職・転職で最も求められるのは実務経験です。
キャリアアップや年収アップを目指すのであれば、客先常駐(SES)であれ実務経験は実務経験ですので、もっと好条件の企業に転職するチャンスが広がります。
様々な企業で働くことができる
客先常駐(SES)という働き方では、大手企業での実務経験を積むチャンスがあります。
一流の企業に直接就職するための過程は競争が激しく、多くの人々がその門戸を叩くものの、内定を得るのは容易ではありません。
しかし、客先常駐(SES)という形であれば、通常の就職活動でのハードルが高いとされる有名企業での業務経験を得ることが可能となります。
このような機会は、キャリアの幅を広げるだけでなく、専門的な知識やスキルの向上にも繋がります。
大手企業は、その規模や業界での地位から、最先端のシステムやネットワークを導入・運用していることが多いです。
将来的に自身の市場価値を高めるための大きなステップとなるでしょう。
自社の業務が少ない
客先常駐(SES)の業務モデルは、自社内の業務が極端に少ないという特徴があります。
自社向けの内部会議や報告などの時間が大幅に削減され、従業員は客先の業務に専念することができます。
例えば、自社の業務が月に一度の会議だけとなれば、その他の時間を客先のプロジェクトに集中的に使うことが可能です。
客先常駐とは
客先常駐という働き方は、特にIT業界やコンサルティング業界で頻繁に使用されますが、一般的にはその詳細があまり知られていないかもしれません。
客先常駐の基本的な定義から始め、その特徴やSESとの違いについても詳しく解説していきます。
客先常駐の定義と特徴
- 密なコミュニケーション:発注元のオフィスで働くため、発注元とのコミュニケーションが密になる
- フレキシブルな対応:状況に応じて素早く調整や変更ができる
- 専門性:受注元が専門的なスキルや知識を持っている場合が多く、その専門性を発注元が活用できる
客先常駐の最大の特徴は、発注元のオフィスで働くことからくる密なコミュニケーションです。
発注元と受注元が物理的に近い場所で働くことで、情報の伝達がスムーズになり、細かい調整や変更も容易に行えます。
また、受注元が専門的なスキルや知識を持っている場合が多く、その専門性を発注元が直接、効率よく活用することができます。
客先常駐とSESの違いとは?
客先常駐と混同されがちな言葉に「SES」があります。
SES企業がクライアントから依頼を受けると、所属しているエンジニアがクライアント企業に出向いて求められた業務をするため「客先常駐」することになります。
客先常駐とは、クライアント先で常駐して働く働き方のことです。
SESとは、エンジニアが客先に常駐して技術を提供するサービスのことです。
クライアント企業に常駐してスポット的な業務にあたるため、派遣ではなく「準委任契約」を結ぶケースが多いようです。
その業務の遂行自体が目的となり、結果や成果物の完成については責任を求められないことです。
SES企業とエンジニアには、「システムを完成させて納品する」義務はなく、「決められた業務をする」だけの役割となります。
客先常駐(SES)の実態:口コミと評判
某大手の常駐先に派遣され、コロナが流行し始めた時に受けた差別
— 撃退!無期雇用派遣 (@gekitai_haken) August 7, 2023
・正社員はリモート勤務、派遣は毎日出社
・コロナ対策で2月の極寒の毎日に何故か暖房なし、窓全開の部屋で仕事
・半導体不足の中、社員は新品PCが与えられ、派遣は二年以上古いPCを使う事が義務化される#SES#客先常駐#転職
情報産業労働組合連合会の調査によると客先常駐を巡る課題で1番多いのが「自社への帰属意識の醸成が難しい」(46.6%)でした。
引用:「ITエンジニアの労働実態調査」から見える客先常駐の実態|情報産業労働組合連合会
やばい客先常駐(SES)からの脱却:次のステップは?
客先常駐(SES)の仕事に疲れた方、またはキャリアアップを考えている方にとって、次に考えられるステップは非常に重要です。
特にSIer(通称:エスアイヤー)、自社開発への転職は、より良い待遇とキャリアの展開が期待できます。
もしくは、これまでの経験・スキルを活かしてフリーランスエンジニアを目指す選択肢もあります。
SESとは、エンジニアが客先に常駐して技術を提供するサービスのことです。
SIerとは、システム開発すべての工程を請け負う受託開発企業のことです。
著者の転職活動が参考になれば幸いです。
Sler・自社開発企業に向けて転職活動をする
独自のスキルや専門知識を活かし、自社開発に関わる仕事に転職することで、自分のキャリアに新たな可能性を見出すことができます。
その1.二次請けや三次請け企業から元請け企業への転職
- スキルの価値が高まる: 元請け企業では、より高度なスキルや専門知識が求められる。その分、自分のスキルが正当に評価されやすい
- プロジェクトに対する影響力: 元請け企業で働くことにより、プロジェクト全体に対する意見や方針にも影響を与える機会が増える
- 働き方の選択肢: 一般的に元請け企業は、福利厚生や働き方の選択肢も豊富
元請け企業で働く場合、高度なスキルや専門知識が要求されるため、自身のスキルがより正当に評価される機会が増えます。
さらに、プロジェクト全体に対する影響力も高まる可能性があり、多くの働き方の選択肢が広がります。
SIerにはいくつかの種類があり、メーカー系、独立系、大手SI企業の子会社など、選択肢は多いです。
自分のスキルやキャリアプランに合ったSIerを選ぶことが重要です。
- メーカー系: 一般に安定しており、福利厚生も充実しています。自社製品に特化した業務が多い
- 独立系: 柔軟な組織文化と多様なプロジェクトが魅力。大手に比べると福利厚生は劣る場合がある
- 大手SI企業の子会社: 親会社のブランド力を活かした安定性。親会社の方針に大きく影響されることも
ただし、元請けへの転職には高いスキルと経験が必要です。
その2.自社開発企業への転職
- ビジョンに共感: 自社開発企業では、企業のビジョンや製品に直接貢献できる
- スキルの多様性: 自社開発では、一つの製品やサービスに関わるため、多角的なスキルが要求される
- 成長性: ヒットする製品やサービスが生まれれば、企業とともに成長するチャンスも
自社開発に従事する場合、企業のビジョンや製品に対して直接貢献できるため、働く意義を強く感じやすいです。
自社製品に携わるため、多角的なスキルが必要とされ、それに応じて自身も成長できる場が用意されています。
自社開発企業への転職は、新しい技術を学ぶ意欲や、自ら手を動かして価値を生み出す姿勢が求められます。
独立してフリーランスになる
- 時間の自由: プロジェクトを選ぶ自由、働く時間、場所を自分で決められる
- 高い報酬: スキルと経験に応じて、高い報酬を得ることが可能
- 多様な経験: 異なるクライアントやプロジェクトで働くことにより、多様な経験とスキルを積むことが可能
独立してフリーランスとして働く道もあります。
フリーランスは、時間の自由が手に入る最も大きなメリットといえます。
自分でプロジェクトを選ぶ自由があり、働く時間や場所も自分で決められます。
その結果、スキルと経験に応じた報酬を得ることが可能です。
ただし、フリーランスとして成功するためには、確固たるスキルセットと、それを市場で高く評価される能力が必要です。
加えて、自分で仕事を獲得する力、会計や税金の知識も必須です。
まとめ:客先常駐(SES)が「やばい」かは、ご自身の受け取り次第!
今回は客先常駐(SES)が「やばい」のかについて解説しました。
IT業界は客先常駐(SES)を取り入れる企業が多いのは事実です。
改めて客先常駐(SES)が「やばい」と言われる理由と良いこと確認しておきましょう。
- 給料が安い・年収が低い
- 会社員でも給料・年収が不安定になる可能性あり
- キャリア形成が難しい
- マネジメント経験が詰めない可能性あり
- 働き方・勤務地は常駐先に依存
- 自社から正当な評価を受けづらい
- 自社への帰属意識が薄れる
- 未経験でも就職・転職できる
- 様々な企業で働くことができる
- 自社の業務が少ない
客先常駐(SES)の働き方はどうしてもマイナスなイメージが強いです。
ただし、初めから転職することを前提に客先常駐(SES)で実務経験を積む方法もあります。
転職活動では、これまでの経歴や転職理由など色々と聞かれますが、一番重要なのは「実務経験があるか」です。
客先常駐(SES)の企業で未経験でも就職・転職できるのであれば、実務経験を積んでから、より良い企業へ転職するのが良いと思います。
そのため、客先常駐(SES)が「やばい」かは、ご自身の受け取り次第になります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
もし、参考になれたのなら、幸いです。